是枝裕和からのメッセージ
  『もなほ』
2006年3月23日

大変ご無沙汰しました。是枝です。
いやーほんとうにこの1年は公私ともに色んな出来事があって、しばらくの間ホームページのメッセージもお休みさせてもらっていたのですが、『花よりもなほ』の公開まであと2ヶ月ちょっと!ということで又ボチボチと思うことなどを書かせてもらおうかな、と思ってます。よろしくお願いします。

さて、『花よりもなほ』。
時代劇です。江戸時代。舞台は貧乏長屋。主人公(岡田准一君)は父の仇を探して江戸に出て来たお侍さん。でもって、住みついた長屋に美人の未亡人(宮沢りえさん)はいるわ、たかりやの遊び人(古田新太さん)はいるわ、ちょっと頭の足りない孫ちゃん(木村祐一さん)はいるわ、殿の仇を討つために隠れて暮らす赤穂浪士もいるわetc。もう、いろんな人が出て来ちゃう、楽しいお話です。

タイトルは、その赤穂のお殿様が切腹した時に詠んだとされる辞世の句からいただきました。最初にこのタイトルの記された企画書を手にとったスタッフのひとりに、「監督、『もなほ』って何ですか、『もなほ』って」と聞かれまして…。いや、決して「最中(もなか)」のような食べものではなく、「も、なほ」「も、尚」なんだけれども…と説明したのですが。(きっと「花より」と来れば「団子」と続く方がポピュラーだからね。)『もなほ』と書いて、『も、なお』と読みます。間違わないでね。

今は、公開(6月3日)と同時に書店に並ぶはずの原作小説を執筆中なのですが、ここには出来るだけ、この映画が出来上がるまでの色々なこと…美術のこと、衣装のこと、音楽のこと、キャストのこと、そして又今世の中で起きていることについて思うことなどを記していきたいと思いますので。では、又。

是枝裕和


 

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