是枝裕和からのメッセージ
  タテさんのこと
2003年11月1日

今回、映画の中で「宝石」という挿入歌が流れます。シンガーソングライターのタテタカコさんが作った曲です。僕としては初めてのチャレンジです。でも、とても、映画に、シーンに、マッチしていると思っています。

タテさんとは一昨年、ソニーミュージックオーディションという番組で知りあいました。唄うことへのまっすぐな姿勢と、まっすぐな声、それに天然(?)なキャラクターに惹かれて、無理矢理出演をお願いしたのですが、映画を観た方からは「あのコンビニの女のコ・・・いったい・・・誰?」という問い合わせが相次いでいます。なんか、みんな多分、戸惑いながら質問してくる感じがとても面白いです。どうも、やはり、役者さんとも違う、本物のコンビニ店員さんとも又違う、不思議な存在感を漂わせているようです。

「宝石」という曲には、
氷のように枯れた瞳で 僕は大きくなってゆく 
誰も寄せつけられない 異臭を放った宝石〜
という詞があって、このフレーズを聴いた2年前、僕は新作の映画(まだタイトルも決まっていませんでしたが)のクライマックスでこの歌を流そうと決めたのでした。

そんなわけで、映画をご覧頂く方には是非、この、不思議なコンビニの女のコと、たぶん知らずに聴いたらとてもそのコが唄っているとはすぐには結びつかない「宝石」という曲に、注目してほしいと、思っているのであります。

是枝裕和



 

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