長編映画作品

  『幻の光』、『ワンダフルライフ』で人の心のありようを誠実に描き、海外でも高い評価を得てきた是枝裕和。その眼差しは生と死、喪失と再生、事実と虚構−そんな曖昧な境界線上にただよう人々に向けられてきた。

『ディスタンス』は、殺人事件の[加害者遺族]を物語の中心に据え、宗教をめぐる [ある一線]を超えてしまった人々と、[こちら側]にとどまった人々との心の距離を真摯に見つめる、繊細で残酷な物語である。



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解説
[加害者遺族]という複雑な心のありようを等身大の言葉で表現するのはARATA、伊勢谷友介、寺島進、浅野忠信ら、今までも是枝作品を支え、日本映画を突き動かす原動力となってきた魅力的な俳優たち。さらに夏川結衣、遠藤憲一、りょう、中村梅雀ら個性的な仕事が光る俳優たちが物語に深い陰影を与えている。



『ワンダフルライフ』でも印象的だったドキュメンタリーとドラマの新しい接点が、ここでも登場人物の豊かな造形につながっている。キャストに手渡された脚本はそれぞれの出演部分だけで、相手の台詞は書き込まれていない。俳優たちは物語の方向性と人物設定だけを知らされ、脚本には書き込まれていない多くの部分を彼ら自身の感性や言葉で形作っていった。

俳優たちの真剣な、時として奔放な言葉、動き、感情を受け止めたのはドキュメンタリーの名手、山崎 裕。ほぼ全編手持ちカメラで機動性を重視。一切の人工照明を排し、自然光だけで登場人物の心の動きを追っている。

音楽は全く使われておらず、観客はまるでもうひとりの旅の参加者であるように、水の音や蝉時雨、都会の騒音、そして5人の息遣いをリアルに体感することになる。家族を喪った悲しみと、身内から犯罪者を出してしまったという罪悪感。そんなやり切れない思い、心の痛みを背負った[加害者遺族]と私たちの距離は、それほど遠いものではない。暴走し、[一線]を越えてしまった彼らを生んだ社会は、私たち自身もまた、よりかかっている社会なのだから。



『ディスタンス』は、信じるものをもたない人間の漠然とした生への不安を描く、同時代性と普遍性に満ちた作品である。

物語
カルト教団「真理の箱舟」の信者が東京都の水道水に新種のウィルスを混入させ、128名の死者と8000人に及ぶ被害者を出すという無差別殺人事件が起きた。その後5人の実行犯たちは教団の手で殺害され、教祖も自殺した。

それから3年目の夏−。
この物語の主人公である実行犯の遺族4人が、彼らの命日に殺害現場である湖へ向かう。ひっそりと静かに死者の霊を慰めるための旅が折り返し点に差しかかったときに、彼らの目の前にひとりの男が現れる。彼は元信者で犯行直前まで実行犯たちと行動をともにしていたのだという。
あるアクシデントから、彼ら5人はかつて信者たちが暮らしていたロッジで一夜を過ごすことになり、今まで目を背けてきた[記憶]と、自分自身と否応なく向き合うことになるのだった。私たちは被害者なのだろうか、加害者なのだろうか。果たして私たちは何か確かなものを手にすることができたのだろうか・・・と。
キャスト&スタッフ
  監督・脚本・編集       是枝裕和  
 
  キャスト       敦 : ARATA
勝 : 伊勢谷友介
実 : 寺島進
きよか : 夏川結衣
坂田 : 浅野忠信

夕子 : りょう
きよかの夫 環 : 遠藤憲一
菊間刑事 : 中村梅雀

勝の兄 : 津田寛治
実の元・妻 : 山下容莉枝
宮村 : 村杉蝉之介
勝のガールフレンド 梓 : 梓
老人ホームの看護婦 : 木村多江
実の現・妻 : 平岩友美
実の上司 : 中村育二
田辺老人 : 杉本安生
 
 
  ゼネラルプロデューサー       重延浩/斎藤晃  
  企画プロデューサー 安田匡裕  
  プロデューサー 秋枝正幸  
  アソシエイト・プロデューサー 浦谷年良/荒川礼子  
       
  撮影 山崎 裕  
  録音 森 英司  
  美術 磯見 俊裕  
       
  製作担当 白石 治  
  助監督 西川 美和/熊谷 喜一  
  スタイリスト 谷口 みゆき/篠塚 奈美  
  メイクアップ 酒井 夢月  
       
  スチール 若木 信吾  
  広告美術 葛西 薫  
       
  製作主任 湊谷 恭史  
  制作デスク 那須 恭子  
 
  製作       テレビマンユニオン/エンジンフイルム
シネロケット/IMAGICA
 
  製作・配給 『ディスタンス』製作委員会  
  配給協力・宣伝 P2  

© 2001-2006 『ディスタンス』製作委員会


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