皆さんから寄せられたメッセージ
目を瞑ると、あの場所に今もみんながいるようです
2004年8月25日 まき


私も2時間半、あの子達と同じ世界にいました。何か出来ることは?と強く突き動かされましたが、その場しのぎの事しか出来なかったろう自分が、子供達の眼差しを失ってしまった大人側にいるのだと気付き、ハッとしました。まだ、言葉にならない思いが心の中を渦巻いています。また、みんなに会いに行くと思います。

子供って
2004年8月25日 まきこ


久々に「子供って何なんだろう?」って考えました。私は3人の息子の母ですが、いつもはあまりにも側に居すぎて見えない事や、考えたりしない事を思い出したような気がしました。でも、あんなに追い込まれた子供たちを見ても不思議と「かわいそう」という言葉はあてはまらなかった。自分たちが追い込まれるほど、他の生き物に与え続ける姿は、健気でまっすぐでせつないほどにピュアでした。
私たち大人は子供たちに何をしてあげられるのかな、明が弟や妹に対してしてあげていたこと一つ一つが思い出されて、また涙が出てきてしまいました。
同居の義母を誘い、オールナイトで観た久々の映画だったけれど美しいものをみせて頂いてありがとうございました。あのような悲劇が繰り返されないよう祈りつつ。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
ひとつだけわからないところが
2004年8月24日 nil


あっという間に終わっていました。始まったところから映画の中にのめりこんでしまいました。これほどまでに映画が一瞬のうちに日常になったのも初めてです。飛行場からの帰りのシーンでは涙を堪えるのが・・・
 わからないところが、さいごに母親からの送金は何の意味があったのか?あんなに家を空けておいてもやはり母親なのでしょうか?
子供のことを気にしながらもやはり放置しておいたのでしょうか? そこがわからなかった。

帰りにどうしても飛行機が見たくなって近くの飛行場に寄ってみて考えてみたが、わからなかった。シーンを思い出しててやはり涙がこぼれてきた。

やっとみれました
2004年8月24日 あちゃこ


ずっとみたくて、今日やっとみれました。なんか言葉でこの気持ちを表現できません。なぜだか思い出すと涙がでます。とにかく子どもたちの目がきれいで、すいこまれました。とくにあきらくんが一生懸命で、切なくて、兄弟を守ろうと必死で、それがすごい伝わってきました。それをまわりは知らないなんて。こんなことあっちゃいけない。子どもが大人みたく頑張らなくていいと思う。

8/24 パラダイススクエア 舞台挨拶
2004年8月24日 綾子


今日は大阪 パラダイススクエアの舞台挨拶を見てきました。作品を見るのは二回目ですが、最初に見た印象とはまた違った見方が出来て、とても新鮮でした。
監督が「二回、三回観るとまた違った見方が出来る」とおっしゃった時、本当にそうだ!と心の中でさけんでました。最初はただ ただ衝撃的でかわいそうだと感じていましたが、今日観たら子供達の笑顔が忘れられず、母親との愛を感じてなりませんでした。
あの子達は生活的には貧しくとも、愛が溢れている と感じ、道端に咲いている小さな花に私も感動出来る心を持ちたいと思いました。
また観たいです。柳楽くんは大勢の観客を前にして、とても緊張していたのが かわいかったです。
カンヌという国際舞台に立っているのに・・・
早くDVDにならないかと心待ちにしています。

精一杯
2004年8月24日 Nonne


生きることはすばらしいことだと思いました。
守りたいもの、大切なもの本当はたくさん感じていたはずなのに、いつの間にか忘れてしまっているような気がします。
子どもはまっすぐで、それでいて精一杯人間だって『生きていて当然』だという生き物ではないのだと知りました。
また、観に行って自分の糧にしたいと思いました。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
ゆきちゃんの眠る場所
2004年8月24日 スナドリ


先日、ゆきちゃんの眠る場所に行ってきました。
モノレールにも乗りました。こういう俗っぽい行いには、まゆをひそめる方も多いとは思いますが、映画を観てじっとしていられなくなってしまいました。
そこは、飛行機が絶え間なく離発着を繰り返し、頭上をかすめて行きました。すさまじい轟音の中、ぼくはそこに立っていろいろ考えました。でもそのときの気持ちをうまく伝えることができません。ただぼくは、いまこの世界に生きていて、いやなこともいっぱいあるけどいいこともたまにはあって、明日はまた会社へ行き、休みの日にはまたここへ来たりするんだろうなぁ、とぼんやり思っています。ともに体験する、経験する映画だと誰かが言っていましたがまさにぼくにとってそのとおりの映画でした。最後にもうひとつ、北浦さんの演技は本当にすばらしかったです。はじめて四人で外に出て公園で遊ぶシーンでゆきちゃんが遊具のピンクのぶたさん?に乗って京子ちゃんと背比べをしたあと、ぶたさんの背中についてしまった砂を京子ちゃんがさっと手ではらうとこなのですがあれは演出だったのでしょうか?あまりに自然すぎてうなってしまいました。他にもたくさん、いいシーン、うなってしまったシーンがありました。
彼女の優しさや誠実さを強く感じました。
是枝さん、すばらしい映画をありがとうございました。
忘れがたい、いくつものシーンをぼくはことあるごとに思い出すことでしょう。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
観るべきか、観ざるべきか。
2004年8月24日 うしろむき


観ました。
重いです。半端じゃなく重いです。
柳楽君の評判や、昔の事件をモチーフにした話とか
前情報を仕入れすぎたこと、反省してしまいました。

私は泣くことができませんでしたが、映画館の帰り道、奥さんと二人で休み休み帰らないと帰れない位に疲れていました。
この映画は、絶望と希望をごちゃ混ぜにした映画だなと思います。見終わった後、ホントに絶望オンリーだったのが、時間が経つと思い出されるのは幸せなシーンばかりで、少しずつ希望が感じられてくる、そんな感じです。
きっと良い映画なんだなと思っています。
しげる君がベランダから鉢?を落とすときは、思わず叫んでしまいました。長い時間でしたが引き込まれてしまいました。

この映画ですが、非常に濃いいです。凹み気味の人は、凸になってから観た方がいいかもです。
それと悲観的な人は注意してください。毒にも薬にもなります。

今日、会場で・・・
2004年8月24日 武藤和子


是枝監督と柳楽さんの舞台挨拶を 名演小劇場で伺う事が出来た 幸運なひとりです。 「誰も知らない」は 2度目 最初より深く心に響きました。是枝監督の志の原点ともなった記事から15年・・・その時間の長さが この映画に完成度の高さとなっていますし、柳楽さんを見出し、世界に納得していただけた作品となりましたね。子供たちが自然に振舞っている様にも感じましたが 重いテーマを監督が噛み砕いて表現してくださったようで 受け止める私たちがしっかり 日本の今の現実に目を向けなくてはと思いました。 いい映画をありがとうございました。 これからも心に残る映画をたくさん作ってください。 名古屋までお出でくださり感謝してます。 では又

ティーチイン
2004年8月24日 マサヲ


「誰も知らない」観ました.
もう一度観ようと思っていますが、
ティーチインの予定はありますか?

From Webmaster:
是枝のティーチインは現在検討中です。日程や場所は決まり次第NEWSに掲載しますので、チェックしてみてください。


かわらないもの
2004年8月24日 音色


何故か、終わったとたんに泣いてしまいました。
過ぎてしまえば、何も無かったように続いていく日々、
私も映画館から出てしまえば、次の時間が始まる。
本当の事にしろ、つくり事にしろ、
悲しみも壊れてしまった時間もそのままに、
空も陽の光も街も通り過ぎていく。
かわらない事はこんなにも悲しいんだと思いました。
今日、映画館で立ち止まった私は
くりかえされる日々の中で
埋もれてしまいそうな声に
気づいてあげられるでしょうか?

【このメッセージは作品の内容に触れています】
映画「誰も知らない」
2004年8月24日 yumenamida


8月22日に映画「誰も知らない」を家族で観に行きました。
あたしとあまり歳が変わらない明がなんで血の繋がってない兄弟をあそこまで面倒見たのか。あたしが明の立場なら兄弟の面倒なんか見ないと思います。すぐ警察とかに行きそうです・・
パンフレットの中も見たんですか明が法廷で母親に泣きながら謝ったそうなんですがなんで謝ったのか。それが不思議でなりません。
「母親が悪いじゃん!」ってすぐに思ったんですけど、たった独りでこんなにイイ子供達を育ててきたなんてすごいと思いました。
とにかくこの映画は子供から大人、老人にまでみてもらいたい1作です。

最後にあたしは天国にいるゆきちゃんに聞きたいことがあります。ゆきちゃんは5年という短い人生の中を懸命に生きてきたように見えます。ゆきちゃんは果たして幸せだったんでしょうか?このことを数日考えていました。きっとゆきちゃんは大好きなおにぃちゃんおねぇちゃんと居れて、そして大好きなおかぁさんと居れて最高に幸せだったんじゃないかなって思います。
今でも映画の内容を思い出すと涙が止まりません。

こんなことは初めてでした
2004年8月24日 ふうちゃん


是枝監督さん、
私はこの映画ではじめての経験をしました。それは、見終わった直後、映画と現実の区別がつかなくなって混乱したことです。私はYOUの母親に心底腹をたててしまいました。「YOU憎たらしい。よくもまあ、しゃあしゃあとカンヌまでいけたもんだ!」と言っ
て、一緒に行ったともだちに笑われました。
はっと気がつけば確かにそりゃないでしょ、ですよね。YOUさんごめんなさい。今思えばなぜそんな感覚になったのか不思議な気がするんですが、あの時、映画を見た直後は、YOUがただただ憎たらしかった。それだけ、彼女の演技も子供たちも、リアルに思えたのですね。
見て二日経った今は、映画の余韻が心の中で静かに熟成していっている気がします。忘れられないすばらしい映画をどうもありがとうございました。

色々なものに惹かれる映画です。
2004年8月24日 鮮


柳楽さんの目に惹かれて友達と観ました。私は絵を描くので、いろいろなものを見たくてよく映画を観ます。今まで観た映画の中でも、この映画の雰囲気は独特なもので、とても気に入りました。普段友達や家族と話しているだけのような演技がすごく好きです。最後の方のタテタカコさんの歌の内容が物語と重なり、とても良かったです。好きとか嫌いとか、そんな風に分けたりは普段しないのですが、見ている途中で自然と「好きだな」と思える映画でした。

感謝致します!!
2004年8月24日 松っちゃん


鳥取県に住む者です。
こっちへは「来ないよぉ〜」っと嘆いていました。

友人より「やるみたいだよ〜MOVIXで観に行かぃ!」と
誘われ、HP観たら28日よりと書いてあるじゃないですか
『ヤホー!!』声にまで出てしまいました。
本当に感謝します。ありがとう

必ず観て、感想を致します。
         感謝!感謝!!

無題
2004年8月24日 Yuko


悲しい現実。
でも、4つのちいさな光は眩しいくらいに光っていて・・・

自然と笑顔がこぼれて
自然と涙があふれて

すべての感情がでてくる、まるでそこに自分もいるような感覚。
こんなに心が震えた映画は初めて。出逢えてよかった。

知らないではなく・・
2004年8月24日 ミズノ


大人たちのみせる無神経さや無関心の恐ろしさに頭が痛くなった。『誰も知らない』ではなく、『誰も知ろうとしなかった』のだ。
彼らのことを。
すべての子供たちが大人たちの関心のなかで暮らしていける世の中になったらいい。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
涙、涙の映画でした
2004年8月24日 雪


母親に捨てられても、母親を信じて
生きてる子供達の姿に感動しました。
明くんがコンビニの人にお願いして、お年玉の袋に名前を書いてもらい
母からのじゃないのに「お母さんからだよ」と言って
兄弟に渡すシーンはすごく感動し、涙がとまりませんでした。
私個人の人生を生きるなかで
この映画は一生忘れないと思います。
この映画を見て本当に良かったです。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
上映後、席を立てませんでした。
2004年8月24日 トーコ


この映画を見る前は、あまり内容を知らないままに気軽な気持ちで映画館に入りました。ただ、YOUのファンとして・・・。
映画が始まり、独特のなんとなく懐かしいような雰囲気に引き込まれ、すごくリラックスし始めた自分に気付きました。
トランクから子どもたちが出てきたときは素直な驚きと戸惑いがありました。なんで、このお母さんは平気で子どもをトランクに閉じこめるようなことができるんだろうと。しかし、子どもたちは全くもって嫌な顔一つせず、違和感も感じていないような素直な笑
顔・・。悪気があってトランクに押し込んだのではないと、子どもたちは知っていたのですね。親との繋がりをとても感じました。子どもたちの親を信頼する気持ちの強さに心うたれました。
この家族の環境は見ていて衝撃でした。しかし、映画を見続けることができたのは、子どもたちの素直な心からの笑顔が私たちになにかを伝えてくれようとしているような気がしたからです。その笑顔には、見る人すべての不安を和らげるような強さがありました。
世の中には色々な事情をもった家族がたくさんあり、悩みも様々です。他人からしたら、どうしてそんなことで悩んでいるの?と思えるようなことでも当人にとっては眠れなくなるくらいの悩みだということもあります。他人にはわからない悩み、誰かの助けで癒される悩み、色々あります。
困っている人がいても、見て見ぬふりをしたり、自分のことで精一杯で手が回らなかったり・・。
この映画をみて、自分はいったい何をしているんだろうと思いました。こんなことでいいのか?と。
誰かを幸せにしたいと思う。でも、身近な人をちゃんと幸せにすることもできない、そういう自分が情けなくなりました。あきらめたくない今からでも動きだそう、と思わせてくれる映画でした。
もう一度みたい。二回目は、一回目と違う何かをまた見つけられそうな気がする、そんな内容の濃い映画だと思いました。今度は誰と一緒に見に行こうか、それを考えるのは楽しいです。
この映画にありがとう!

うつくしい・・・
2004年8月24日 かもきのこ


きょう観てきました。
子供たちの表情や言葉はとても自然で、
ドキュメントを見ているようでした。
だれもがけなげで、いとおしく、
初めから最後まで涙を流しっ放しでした。
美しい映像とともに淡々と進む物語。
久しぶりに巡り合った素晴らしい作品でした。

ありがとう。
2004年8月24日 あうとろー


ただ素直に、一生懸命生きていたに違いない。
子供たちも、お母さんも。
だからこそ子供たちはあんなにまっすぐに、伸びていた。

あの時誰がどうすればよかったのか?
彼らが社会で生きる方法はたくさんあっただろう。
問題を解決する方法はいくらでもあったはずだ。
でも大人として自分に思いつく限りの解決方法のなかで、
そのどれもがなにか寂しく、正解ではない気がしてしまうのは
何故なのか?
あの子供たちのたどった姿がどれだけあったかくて、うれしくて、
しあわせなんだなぁと思えるのは何故なのか?
なのに、涙があふれてくるのは何故なのか?

子供たちはけっして泣かない。
じっと我慢して、それでも明日を信じて笑う。

まだよく飲み込めていないけれども、
あの子供たちに出会って、
なにかとても大切なものをもらったことはわかる。
出会いをありがとう。

この夏に出会えた一番の思い出
2004年8月24日 エズ


映画をみてからもう半日が過ぎようとしています。
それでもふと涙がでてくる自分に驚いています。
けどこれは「悲しい」涙とは違う気がします。
ただただ切なくて愛しくて・・・
子供たちの表情が頭から離れません。
彼らの表情や仕草が鮮やかに思い出されるほど
生命の強さを信じたい、守りたい・・・
と思わずにはいられません。
子供を持たない私には、子供を捨てるという気持ちは
理解できないけれど、
でも、この映画はけして母親を責める、母性の無さを嘆く映画ではないということです。
まだ気持ちが整理できないので上手く感想を
述べることができませんが、
好きとかきらいとかではなく、
とにかく多くの人に見てもらいたい、
心からそう願います。
受け取り方はそれぞれで構わないので
観て欲しい、考えて欲しいのです。
彼らの「生命(せい)」は眩くて、手を触れることが
できないと思えるほどに尊いものに映ったけれど
もし叶うのであれば、彼らの手を、肩を
抱きしめてあげたい。
この夏、こんなにきらきらと光る宝石に出会えたこと
嬉しく思います。ありがとうございました。

学ばせていただきました
2004年8月23日 オーストリッチ


子供たちが育つそれぞれの背景には様々な生活環境がある。
教師として、この作品は何か教えられるものがありました。
新学期、子供たちに久しぶりに会う時、大きな器で受け止めてあげられるように自身も磨いていきたいです。

響く
2004年8月23日 nagisa


映画館で観てから5日たちました。
初めの2.3日は大変悩まされました。
しかし、このサイトに来て多くの人のメッセージに触れ、
もの凄く、強烈に響く「何か」を受け取りました。
絶望はない。
強く感じました。

感想
2004年8月23日 うらら


映画館からの帰り道、首に鍵をぶら下げて千円札を握って信号待ちをしている男の子を見かけた。
シンクロニシティでも何でもなく、そんな子供達はこの東京のいたるところにいたのかもしれない。
私はこの映画を見る前まで、映画の中で風景の一部だった大人たちの一人だったのだろう。
静かに叫ぶ子供達に気がつかずに通り過ぎてしまう。

映画の中の子供達は涙をみせなかったけど、映画を見ていた私達は涙せずにはいられなかった。
弱い大人達の隙間で強く生きる子供達。
子供達が弱くいられるように、強くならないといけないと思った。私達はもう大人なんだから。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
2度観ずにはいられない
2004年8月23日 hiroaki


この映画の感想を言葉で具体的に言うのは難しい。
いい映画だったとか、感動したとか、素晴らしかったとかなんていう安っぽい言葉では伝えきれない。
ただただあの映像に引き込まれ、今も映画の色んな場面が頭によぎり、離れない。子役達の表情、台詞、行動。日常生活の中でいつまでも思い出す、不思議な感触を持った映画だった。
妹を失い、それでもやってくる明日。それまでと変わらない生活。最後、明君が飛行機の飛ぶ空を見あげるまなざし、子供達の後姿に希望と肯定的な力強さを感じた。

【このメッセージは作品の内容に触れています】
誰もが知ってる誰も知らない
2004年8月23日 tubu


最初に泣いたのは明とゆきがお母さんを迎えに行くところです。子供の無条件の信頼を裏切ることがどれほど残酷なことなのかを思い知らされました。アパートの外で無邪気な親子がキャッチボールをするシーン、それが赦されない子供にとってどんなに残酷な情景なのか。普通のことが出来ることはまるで宝石のようにいとおしいことなのだと分かります。
子供を育てることは自分の時間をさくことです。実は私もカレーも作ったし、レシートも古ノートに貼ったし、安くなったクリスマスケーキを買ったことがあります。くたくたになっても子供はかってだし、明の気持ちは身につまされます。なんといってもまだ子供な
のだし遊びたい盛りなのにほっぽりだしたくなってもそういう訳にも行かず、何とか踏ん張って世話をする。考えてみれば世の親たちの子育てだって同じことじゃないですか。
お金の続く間は何とか綱渡りが出来るけれど、お金がなくなればゆっくりと壊れていく子供たちの心が丁寧に描かれ、不安はゆきの死という形で現実のものとなる。飛行場でのお弔い、法治国家なら死体遺棄だけれど、法律を知らない子供にとっては自然な儀式であったに違いありません。本当に生きることだけに全力を振り絞らなければならないとき、家族の死は受け入れられ乗り越えられてしまう。生きている意味や理由がそぎ落とされているからでしょうか。
絶対に子供は大人が守ってやらなければなりません。でも子供たちには生きる力があります。ラストシーン、こんなに未来に向かって終わる映画を見たことがありません。映画に描かれた時間よりもっと長い未来がテーマなのだと思います。映画の内容がとても重いのに見終わった心が軽いのはそのせいでしょうか。
映画はいつもヒーローを描いてきました。誰にも認められるヒーローが主人公。「少年よ大志を抱け」。生きているのは、おとなだけですか。生きていいのは大志を抱いた人だけですか。すべてを失ってなお必死に生きている子供たちにはすねることも非行に走ることも許されません。それでもなお都会の中で漂流する子供たちが誇りを失わず宝石のようにきらめいて私たちの心を打つのは自らの運命を他人の責任にすることなく静かに受け入れ自らの意思と責任で生きているからなのでしょう。
映画を見てなぜタイトルが「誰も知らない」なのかよく分かりました。誰にも知られずに生きた人々に対する是枝監督のまなざしの優しさと、誰にも知られず生きた子供たちの宝石のような心。言葉では表されない子供たちの生命の映像を表現したこの映画が日本から発信され、カンヌで評価されたことを本当にうれしく思います。
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