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監督の西川です。三年前に私は夢を見ました。一匹の犬が私の家に迷い込んでくるのです。家族は何も知らずにその犬を囲い込み、一家の新たな一員にすることで、家族の絆も深まりました。とても平和な日々が流れていました。私達にとっては可愛いばかりのその犬が、実は幾人も人を殺した犬だという噂が流れるまでの幾ばくかの時間でしたが。私は考えました。この犬は恐ろしい。人を殺しているなんて。この犬を家から出すのが全てにとって最良の選択だ。私は、悪びれる風もなく足にまとわりつくその犬を促して、玄関先に呼んだ保健所員にぽい、と引き渡してしまうのでした。家族の幸せのために。
夢はそこで終わってしまいました。そしてそれがこの映画の原案になったものです。
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